夫婦別姓 日本

日本で夫婦別姓が当たり前になるには時間が掛かる?

夫婦別姓制度とは、夫婦が婚姻時の苗字を夫か妻かのどちらか一方のものに統一せずに、それぞれが婚姻前の別々の苗字を維持する制度を指します。

日本でも平成3年くらいから夫婦別姓は審議されるようになり、メディアなどでもよく議題にのぼっているので、現在では国民の間ではとてもメジャーになりました。

しかし、長い間議論になり、配偶者との同姓は不自由であることもあるので、別姓を認めること自体は悪いことではないのではという論調に一定の共通理解が出来つつも、実は未だに現行法の中では認められていることではないのです。

改姓に絡み様々な事務的手続きをとらなければいけないのが大変なため、仕事上などで旧姓のまま通す人も増えたというニュースを耳にした方も多いことでしょう。

しかし、あれは戸籍上はきちんと婚姻に際し改姓手続きをしており、職場では以前からの認識も深い旧姓を便宜上、通称姓として使い続けているというものなのです。

婚姻での夫婦別姓は認められないけれど、社会の中では通称姓としての旧姓使用を認めるということが為され出したのは平成13年頃で、まず国家公務員の間での使用が認められたのち、それが地方公務員、民間へと広がりました。

ですから、婚姻に関する別姓を法的に認めるかどうか自体の夫婦別姓の議論は平成3年から平成27年現在までの24年の間、未だ決着がついていないことになります。

では、議題にのぼり始めた当初から現在まで、日本での夫婦別姓はどのような議論があったのでしょうか。

社会的にも夫婦別姓はまだ日本では認知されていない

まず、一番大きな別姓制度案として原則夫婦別姓制度があります。

これは婚姻時は原則夫婦は別姓とし、希望があれば同姓とすることも認めるというものです。

日本で二人の間に生まれた子供の苗字に関しては出生時に決定します。

そして、夫婦の別姓、同姓をどちらかに義務付けるものではなく、自由に選択できるようにすべきという立場としての案が、選択的夫婦別姓です。

これには子供の姓をどうするかによって2つのタイプがあり、1つは子供の姓は配偶者がどちらか一方の姓に統一するものとし、その決定は婚姻時に定めておくというものです。

そしてもう1つは、子供の姓は1人1人出生時に決めるというものです。

つまり、前者では子供の姓はその親となる夫婦が婚姻時に決めておいた1つに揃いますが、日本では後者では必ずしも1つには揃わないということになります。

そしてやはり夫婦同姓を原則とするという立場には、例外的夫婦別姓、家裁許可制夫婦別姓、通称使用公認制があります。

海外と日本では夫婦別姓についての受け止め方が大きく違う

例外的夫婦別姓は、配偶者は同姓が大原則としながらも、希望があれば別姓も例外的に認められると謳いますが、実際はそれを判断するのにあまり厳しい基準がなく、ほぼ自由に認められるということになっており、掲げている同姓原則という基準からはやや曖昧な案であるといえます。

対して家裁許可制夫婦別姓は、別姓にするか否かの判断を家庭裁判所に委ね、日本ではそこで許可が出た場合のみにこれを認めるというもので、許可する基準項目が祭祀にまつわることであるとするなど、ごく限定的なものにされているという厳しいものとなっています。

そして通称使用公認制は、現在多くの国民にも印象づけられている通称姓の使用を、公的なものとして、つまりは法律上認められたものとして用いようというものです。

現在も通称姓の使用は社会的に夫婦別姓が認められたものとはなっていますが、社会生活すべての場面において認められるわけではなく、法的な手続きが絡む限り、やはり戸籍上登記されている氏名を用いなければなりません。

しかし、通称使用公認制が成り立てば、結婚後改姓した名字でも通称姓として使っていた旧姓でも、夫婦別姓はどちらでも気兼ねなく法的手続きを踏むことができるのです。

こうして見てみると、各案に一長一短あって、議論が続いてきたのも頷けるという状況です。

これは、婚姻、子供、家というものに関して国民の様々な意見があり、日本の夫婦別姓はこれらに関して皆一応の納得が得られてから実行に移すという方針があることから、慎重に議論が重ねられているのが理由となります。

未だ夫婦別姓は日本では反対が賛成を上回っている

平成24年度の世論調査では、夫婦別姓を選択できるようにすることに対する賛成票と、配偶者との同姓を原則づけた現行法を抜本改革することへの反対票が拮抗した割合となっています。

その中でも、世代別に見ると若い人の考えは夫婦同姓を義務付ける法律を改正し、夫婦別姓制度を導入するという方向性をもっていて、年配の人ほど夫婦別姓導入はほどほどにして、現行法の維持の方を望むという傾向があるようです。

夫婦別姓制度への賛成派の意見としては、氏名は個人のアイデンティティを決めるものであり、これに自由の効かない強制的な決まりが入るのは憲法の定めるところの人格権の侵害であるということ、結婚後名字の改姓を求められるのは社会慣習上から97%が女性となってしまっており、男女平等の理念に反していることなどが挙げられます。

また、国際的にも夫婦同姓に固辞しているのは日本だけであり、世界に通じる国家としてこれはどうかという夫婦別姓の議論もあります。

法律で夫婦別姓が日本で改正されるまでの最高裁の判決

また、夫婦別姓への反対意見としては通称姓の使用が部分的に認められている以上、日常でそこまで不便さを感じることはないので、法律改正にまで至らなくてはいいのではというものや、子供が振り回されることへの悪影響、日本の伝統的な家族体系が壊されることへの指摘などがあります。

ただ、日本の伝統ということで言えば、実は明治時代以前、日本人は人生の節目節目でその時に合うように名前を改名するのが当たり前であったということから、そのような意見は比較的新しい方の一部の伝統に拘っていると言え、夫婦別姓は本来のより純粋な日本文化から言えば、むしろ改正改名を認めた方が伝統に則っていると言えるでしょう。

以上のような様々な意見、議論のぶつかり合いがありつつも、平成13年度の世論調査では夫婦別姓制度を実行に移すことに対しての賛成票がおよそ7.7%程度で、平成24年度のものと比較すると約10年のうちに賛成が3倍近くになっているのです。

上昇幅はゆるやかと言えども、時代の進むのと共に支持されてきた考え方ではありますから、今後も調整が続き、現行法の上に付加的に夫婦別姓に関する項目を定めるなど、何か新しい案が現れるかもしれません。